「遺言を書く」ということは、特別なことに思えるかもしれません。
私には財産はないので、関係ない。
まだ若い。もう少し年を取ってから考える。
”争族”とよく聞くけど、うちは家族は仲がいいので関係がない。
と思われる方は多いかもしれません。
しかし、遺言は、ただ単に財産を引き継いでもらう人を選ぶために書くのではなく、財産に自分の想いを添えて、引き継いでもらうために書くものです。
だから、財産が多いとか少ないとかは、遺言を書く上では関係ありません。
家族に伝えるメッセージが重要なのです。
あなたが遺言を書いておくことで、残されたご家族がやらなければならない、さまざまな相続手続きをスムーズに行うことができます。
遺言を書くことで、ご自分の思いを伝えることができるだけでなく、残されたご家族のためにもなります。
遺言は、何度でも書き直すことができますので、気楽に考えてみてください。
このページには、以下のことを書いています
遺言はどのような人が書いておくべきか?
遺言は、財産が多い人が書けばよいというようなものではありません。
年齢や健康状態にも関係なく、遺言はみなさまに書いていただきたいと思っています。
相続人が複数人いる相続手続きの場合に、遺言がないと相続人全員で遺産分けの話し合い(遺産分割協議)をしなければなりません。
遺産分割協議をすることが難しいと予想されるときは、遺言書を書いておいたほうがよいでしょう。
遺言で、誰にどの財産を引き継いでもらうかを書いておけば、相続人全員で遺産分割協議ができない場合でも、遺言をもとに相続手続きを進めることができるからです。
相続人の全員に配慮した遺言にしたり、「付言事項」を活用したりすることで、遺産をめぐって相続人のあいだでの争い(争族)を未然に防ぐことができるでしょう。
相続人以外の人(例えばお世話になった人)へ財産を残したい(遺贈したい)という気持ちがあるのならば、遺言を書いておかないとその想いは実現することはできません。
特に「遺言を書いておいた方がよいケース」や「遺言を書いておかないと思いが実現されないケース」は、以下のような場合です。
(これは、あくまでも参考です。 )
夫の親(親が亡くなっていれば夫の兄弟姉妹)と遺産分割協議をしなければなりません。
夫の両親が亡くなっていて、夫の兄弟姉妹が相続人になる場合は、「全財産を妻に相続させる」という内容の遺言を書いていたら、兄弟姉妹には「遺留分(いりゅうぶん)」がないので、すべての財産が妻がもらうことができます。
親戚同士が疎遠だと、連絡先がわからず、話し合いすらできなかったり、各相続人の意見に隔たりがあったりすると、遺産分割協議がまとまらない可能性もあります。
相続人の中に認知症の方がいる場合には、相続手続きを進めるためには、家庭裁判所で「成年後見人」をつけてもらう手続きをしなければなりません。
家庭裁判所での手続きに時間と費用がかかりますし、遺産分割協議の内容も家庭裁判所に判断してもらわなければならず、スムーズに手続きをすることができません。
(認知症の相続人には、法定相続分を確保しなければならないなど制約があるからです。)
相続手続きを進めるためには、家庭裁判所で「不在者財産管理人」を選んでもらって、その管理人が連絡がつかない相続人の代わりになって協議をする必要があります。
認知症の方と同様、遺産分割協議の内容も家庭裁判所に判断してもらわなければならず、スムーズに手続きできません。(連絡がつかない相続人の法定相続分は確保しなければならないなど制約があるからです。)
なお、寄付したい団体には、寄付を受け付けてもらえるか事前に確認くといいでしょう。
法的にも親子になるには、養子縁組の手続きが必要です。
養子縁組をしていない場合は、遺言をしておかないと、パートナーの連れ子に財産を渡すことはできません。
遺言の種類
遺言は、法律(民法)に定められた要件を満たさなければ、法的な効果はありません。遺言の種類は、大きく分けて「普通方式」と「特別方式」の遺言があります。
「普通方式」の遺言には3種類
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
「特別方式」の遺言は4種類
- 死亡の危急に迫った者の遺言
- 伝染病隔離者の遺言
- 在船者の遺言
- 船舶遭難者の遺言
特別方式は、特別な状況にある人のために設けられたもので、実際そのとおりの遺言が書けるのか疑問に思う遺言もあります。興味のある方は、民法976~979条をご確認ください。
ここでは、これらの遺言の中で特に利用されている普通方式の遺言についてご説明していきます。
自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、その名のとおり『自筆で書く遺言』のことです。
紙と筆記具があれば、費用がかからず、いつでも誰にも内容を知られることなく書くことができる点はメリットでしょう。
しかし、せっかく書いた遺言も、民法で定められた要件を守っていなければ無効になってしまう可能性があります。
法的に有効な遺言を書けるかどうか不安がある方は、司法書士や弁護士に相談した上で作成されるのがよいでしょう。相続税に配慮した遺言にしたいと思われる方は、税理士に税金面のご相談をされるのもいいでしょう。
また、自筆証書遺言の場合は、遺言を書いた方が亡くなった後、相続人などはその遺言を家庭裁判所に提出して、検認の手続きをしなければなりませんので、遺言を執行するまでに手間と時間がかかります。
自筆証書遺言を書いた後は、その遺言を紛失してしまったら、遺言を書かなかったことと同じことになりますので、保管方法を考える必要があります。
また、相続人が自筆証書遺言を見つけることができなかったら、相続人が遺産分割の話し合いをして、自分の想いが伝わりませんので、遺言を書いたことを伝えておくことも必要でしょう。
改正されました!
2019(平成31)年1月13日より、財産目録の部分についてはパソコンで作成して印刷したものや、登記事項証明書(登記簿謄本)や預金通帳のコピーでもよくなりました。その場合は、各ページに署名押印が必要です。
くわしくは、自筆証書遺言のルールが変わります【2019.1.13~】をご覧ください。
また、自筆証書遺言を法務局に保管する制度が、2020年7月10日から始まりました。
⇒「自筆証書遺言書保管制度」のことはこちらをご覧ください。
遺言作成にかかる当事務所の報酬はこちら
公正証書遺言
公証人には、裁判官や検察官などの法律実務にたずさわってきた法律の専門家が任命されます。
ですので、自筆証書遺言のように法律の要件を満たさないために無効となることは、ほとんどありません。
当事務所では、遺言をお考えの方には、公正証書遺言をオススメしています。
公証役場で遺言を作るとき、ご自分で最寄りの公証役場に予約して、公証人に相談して、公正証書遺言を作ることはできます。
みなさまの中には、何度も公証役場に行くことはできないという方もいらっしゃるかもしれません。
そういう方は、ぜひ司法書士にご相談ください。
司法書士が、あなたのご自宅などにお伺いして、あなたの家族関係や財産について聞き取りをして、あなたがどのような遺言を書きたいかお聞きします。
その上で、司法書士が遺言の文案を作成し、ご提案いたします。
その遺言の案を確認・修正したのち、司法書士が公証人と事前に打ち合わせをして、日程の予約などまでおこないます。
遺言を作成される方は、遺言作成の当日だけ公証役場に来ていただければ、公正証書遺言をつくることができます。
(2人の証人が必要になりますが、当事務所で手配いたします。)
遺言作成にかかる当事務所の報酬はこちら
秘密証書遺言
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