自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらがいい?

お客さまに、遺言のご説明をする際、

自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらがいいの?

とよく聞かれます。

 

それぞれの家族関係や財産状況、遺言を書く方の想いなどにもよりますので、一概には言えませんが、私は公正証書遺言をおすすめすることが多いです。

以下にそれぞれの長所・短所をまとめてみましたので、これも一つの判断材料にしていただければと思います。

保管場所

公正証書遺言自筆証書遺言

原本は、公証役場で保管されます。

(公証人法施行規則では、保存期間は20年とされていますが、遺言は廃棄していないと公証人より聞いたことがあります。)

⇒紛失・改ざんなどのおそれがなく安心。

自分で保管するか、その遺言で財産を引き継ぐことになる方や信頼できる人に預けることになる。
=各自で最適な場所を検討しなければなりません。

なお、信頼できる人が第三者(たとえば、司法書士など)の場合、遺言を書いた方が亡くなったことを知らせる方法も検討しておく必要があります。

改正されるかも?..

今(平成30年)、国会で相続・遺言について、法改正が審議されています。
自筆証書遺言を法務局に保管する制度を新たに設けることも検討されていますので、今後の動きには注目です。

 

費用

公正証書遺言自筆証書遺言

公証人の手数料が必要です。

手数料の目安は、公正証書のページに書いています。

手元にある紙と筆記用具があれば、作ることができます。

専門家のアドバイスを受けずに書く場合には、ほとんど費用はかかりません。せっかく書いた遺言に法的な不備があれば無効になることもあり、不備のある遺言のせいで、かえって争族になってしまうかもしれません。法的に有効な遺言を書くためには、専門家にご相談されるのがよいでしょう。

 

検認手続き

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検認の手続きは不要。

⇒すぐに名義変更などの各種手続きをすることができます。

遺言を書いた方が亡くなった後、最後の住所地の家庭裁判所で「検認」の手続きを行わなければ、不動産の名義変更などの手続きが行えません。

改正されるかも?..

今(平成30年)、国会で相続・遺言について、法改正が審議されています。
自筆証書遺言を法務局に保管する制度を新たに設けることも検討されていて、法務局に保管された自筆証書遺言は検認はしなくてよいという案が出されていますので、今後の動きには注目です。

 

遺言の検索

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公正証書遺言が見当たらないけど、遺言を作ったと聞いたというような場合は、最寄りの公証役場で調べてもらうことができます。(10分程度でわかるようです。)

平成元年以降のものに限られますが、日本全国どこの公証役場でも、公正証書遺言を「作成したかどうか」を検索することができます。

なお、公正証書遺言の謄本を再発行してもらうには、作成された公証役場で手続きする必要があります。

 

当然、検索などできません。

改正されるかも?..

今(平成30年)、国会で相続・遺言について、法改正が審議されています。
自筆証書遺言を法務局に保管する制度を新たに設けることも検討されています。これが制度化されれば、法務局に保管された自筆証書遺言は遺言の有無を調べることができるようになりますので、今後の動きには注目です。

 

証人

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2人以上の証人が立ち会いますので、証人に遺言の内容を知られてしまいます。

司法書士などの資格者に頼まれると、職務上の守秘義務がありますので、証人以外の人に知れることはまずありません。当事務所でもご依頼いただきましたら、よろこんで引き受けさせていただきます。

証人は不要です。一人で書くことができます。

ご自分が話さなければ、他人に内容が知られることはありません。
だから、相続人ですら遺言の存在を知らないこともありますので、遺言の保管場所、遺言を書いたことの伝え方などを考えておく必要があるでしょう。

 

その他には、

公正証書遺言は、法律の専門家の公証人が作るから、遺言が無効となる可能性は低いので、自筆証書遺言より安心といえるでしょう。

以上のように、どちらの遺言にも優れた面と劣る面があります。どちらの遺言がご自分に合っているかもご検討ください。

 

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投稿者プロフィール

落石 憲是
落石 憲是司法書士
おちいし司法書士事務所の代表の落石憲是です。代表と言っても、司法書士ひとりの事務所です。ホームページはすべて私自身で書いています。

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