相続登記の登録免許税の免税措置(84条の2の3第2項)
平成30年度の税制改正で『相続登記についての免税措置』が新設され、令和4年度の税制改正で、
租税特別措置法84条の2の3第1項の免税措置については3年延長され、
租税特別措置法84条の2の3第2項の免税措置については、対象範囲が拡大されるようになりました。
ここでは、84条の2の3第2項の免税措置についてまとめています。
このページには、以下のことを書いています
相続登記とは?
不動産をお持ちの方がお亡くなりになった後、その不動産を相続人の名義に変更することを相続登記と呼んでいます。
最近、「所有者不明土地」について、よく見聞きされるのではないでしょうか?
その原因の1つとして挙げられているのが、相続登記が長年放置されていること。登記簿には、所有者の住所と氏名が載っているのですが、その所有者が亡くなっても名義変更を済ませておかないと、登記簿を見ても、今、誰のものなのかがはっきりしないからです。
相続登記は手間と費用がかかるのですが、放っておくと、遺産分割協議書に判を押してもらう人(相続人)の数が増えることで、ますます名義変更が難しくなり、費用がかかることにもなりかねません。
お早めに名義変更のお手続きをされることをオススメします。
名義変更の登記は、ご自分でも手続きすることは可能ですが、専門的な手続きですので、難しい面もあろうかと思います。不動産の登記のことは、専門家である司法書士におまかせください。
⇒相続登記(相続による名義変更)の手続きのことはコチラをご覧ください
84条の2の3第2項の免税措置
令和4年度の税制改正で、期間が3年延長され、かつ、対象範囲が拡大されることになりました。
(相続に係る所有権の移転登記等の免税)
第84条の2の3
第2項 個人が、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(平成30年法律第49号)の施行の日から令和7年3月31日までの間に、土地について所有権の保存の登記(不動産登記法(平成16年法律第123号)第2条第10号に規定する表題部所有者の相続人が受けるものに限る。)又は相続による所有権の移転の登記を受ける場合において、これらの登記に係る登録免許税法第10条第1項の課税標準たる不動産の価額が100万円以下であるときは、これらの登記については、登録免許税を課さない。
- 表題部所有者の相続人が受ける、土地の所有権保存登記または相続による所有権の移転の登記(相続登記)
- 平成30年11月15日から令和7年3月31日までの間
- 相続登記の時における土地の価額が100万円以下
※令和4年度の税制改正で、『市街化区域外の土地で市町村の行政目的のため相続登記の促進を図る必要があるものとして法務大臣が指定する土地』という要件が削除されました。
「租税特別措置法第84条の2の3第2項の規定の施行等に伴う不動産登記事務の取扱いについて(通知)」
平成30年11月15日付法務省民二第611号「租税特別措置法第84条の2の3第2項の規定の施行等に伴う不動産登記事務の取扱いについて(通知)」が発出されています。
法第84条の2の3第2項の適用を受けようとするときの申請情報の記載は、例えば、登録免許税の欄に「租税特別措置法(又は昭和32年法律第26号)第84条の2の3第2項により非課税(一部非課税)」などとする。
⇒記載しておかないと、免税措置を受けることができません。なお、一部の土地について免税を受ける場合の申請書の記載例では、
「一部の土地(○○市大字○○字○○34番地の土地)について租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載されています。
共有持分の相続登記の注意点
日本司法書士会連合会から司法書士会員あての平成30年11月30日付のお知らせによると、
法務省民事局民事第二課において、共有持分の相続に係る所有権の移転の登記の場合における租税特別措置法第84条の2の3第2項の適用の可否の判断をするに当たっての不動産の価額について国税庁に照会したところ、今般、国税庁から照会事案における不動産の価額については、登録免許税法第10条第2項の持分の割合を乗じて計算した額とするのが相当であるとの回答があった
ということです。
共有の土地の相続登記の場合は要注意ですね。
相続登記を申請する際、2項の要件に該当する土地が含まれる場合は、課税価格に含めないように注意しないといけません。
令和4年3月31日までは、免税対象が評価額が10万円以下の土地でしたので、減税の恩恵はそれほど大きくはありませんでした。(どちらかというと、手間がかかるだけという感じ。)
しかし、令和4年4月1日以降は、評価額100万円以下の土地に範囲が拡大されましたので、田舎だと、免税対象に該当する土地がかなり増えましたので、注意が必要です。
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