遺言を書いたけど、相続人が先に亡くなったらどうなる?
1.サザエの子タラオが代襲相続する。
2.サザエが亡くなっているので、この遺言は効力がなくなる。
<答え>
原則は2.で、遺言がなかったときと同じように手続きをすることになります。
つまり、妻フネと子どものカツオ、ワカメ、そして代襲相続人のタラオが法定相続人となり、4人で遺産分割協議をして、誰がどの財産を引き継ぐか決めることになります。
ただし、例外的に1.となることもあります。それは、遺言の内容から、
「もしサザエが先に死亡した場合は、代襲相続人であるタラオに相続させる」
ことが読み取れる(書いてある)
<解説>
最高裁判所での判断がなされる前、下級審(高等裁判所や地方裁判所)の裁判例では、
- 代襲相続を認めるもの
- 代襲相続を認めないもの
とに分かれていました。
これについて、平成23年2月22日に最高裁判所は、
「相続させる」旨の遺言は、当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には、当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから、遺言者が、上記の場合には、当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り、その効力を生ずることはないと解するのが相当である
と判断しました。
判決文は、裁判所ホームページをご覧ください。
つまり、原則、遺言は効力を生じないが、遺言者が代襲相続人に相続させる意思があればその意思に従うことになります。せっかく遺言を遺したのに、この裁判のように亡くなって約5年も子や孫の間で争いが続くことは、本意ではなかったでしょう。
<対策>
せっかく遺言を書くのであれば、無効にならない、のちのち争い事にならない遺言にしたいものです。
では、どうすればよいのでしょう?
先ほど引用しました最高裁判所の判決文の中にヒントがあります。
『遺言者が、・・・推定相続人の代襲者・・・に遺産を相続させる旨の意思を有していた』ことが分かるようにしておけばよいのです。
たとえば、
すべての財産を長女サザエに相続させる。
ただし、長女サザエが遺言者の死亡以前に死亡したときは、長女の子タラオに相続させる。
と、もし遺言者より相続人が先に亡くなった場合のことまで遺言で決めておけばよいのです。
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