登記簿の地目が山林、評価証明書の課税地目が畑の場合の農業委員会の許可

土地を売買したり、贈与したりするとき、農地だったら、宅地と違う手続きになります。

農地を取得するときに注意すべきこと」にくわしく書いていますが、農業委員会の許可を得なければなりません。

 

登記簿を見て、地目(ちもく)が「田」や「畑」となっていたら、農地とわかるので、相談があった際でも、

「農業委員会で許可をもらってくださいね」

とアドバイスしています。

 

農業委員会での許可申請手続きは、司法書士は代理人となって手続き代行はできません。行政書士の業務となります。

 これまで、当事務所では、お客さまに手続きをお願いしていましたが、私が令和元年度の行政書士に合格できましたので、行政書士登録をしたあとは、農業員会の許可手続きから名義変更の登記までお受けすることが可能になるなと目論んでいます。

 

登記簿の地目が山林だが、評価証明書の地目が畑

一般的に、登記簿に記載された地目と現況が同じであることが多いのですが、まれに異なる場合があります。

自治体の税務課が固定資産税を課税する際、現況を確認して、それに応じて課税されます。

たとえば、登記簿上の地目は「山林」となっているけど、現地を確認すると、となりの畑とひとつづきの畑となっているようなケースでは、固定資産税を課税する際の課税地目として「畑」と評価されることがあります。

 

また、1筆の土地のうち、一部は「宅地」として評価されているが、残りの部分は別の地目として課税されているというケースも見受けられます。

 

現況が農地の場合、農地法の手続きは?

農地法は『現況主義』を取っているといわれています。(「設例農地法入門[改訂版]」p13)

つまり、登記簿上の地目がどうなっているか無関係であり、土地の現況によって判断されます。

 

登記簿上の地目にかかわらず、現況が農地であれば、農地法の許可得なければなりません。

 

登記地目=山林、課税地目=畑の名義変更登記の際の農地法の許可書

登記簿上の地目が山林となっている土地が、評価証明書における地目が畑となっている場合、

その土地の名義変更登記の際、農地法所定の許可書が必要なのか?

 

先日、ご依頼いただいたケースで、法務局で物件の固定資産評価額を調査したときに

『登記地目=山林、課税地目=畑の土地』に出くわし、法務局で確認したところ、

農業委員会の許可書は必要とのことでした。

 

不動産登記の実務相談事例集Ⅱ」の【17】にこのケースの解説がありますが、

権利に関する登記の審査に当たって、登記官は、原則として、 申請情報、添付情報及び登記記録等によって形式的に審査をすることができるに止まり、実質的な審査権限を有するものではありません。
 
したがって、本問の場合、登記記録上の地目が非農地である以上、農地法所定の許可を証する情報の提供がない場合であっても、当該所有権の移転の登記申請が却下されることはないと考えられます。ただし、上記のとおり、現況が農地であれば、農地法所定の許可は、当該農地の所有権移転の効力発生要件ですから、農業委員会等の許可を得た上で、当該許可を証する情報を提供すべきであると考えられます。
と書かれています。
 
許可書を添付しなければならないが、許可書が添付されていないことで却下にはできないとのこと。
 

 

 
 

当事務所で対応した案件では・・・

お客さまに、登記簿上は山林ですが、課税地目が畑になっていると報告したところ、すぐに農業委員会に相談に行かれました。

 

そして、農業委員会からの回答は、

「その土地は農地として扱っていない」

とのことでした。

 

それを聞いて、また困りました。

農地でないということは許可申請はできない(する必要がない)でしょうから、また法務局に確認をしました。

 

登記地目が「山林」であるが、課税地目が「畑」となっている。農業委員会に当該土地について確認したところ、農地台帳にはないとのことでした。税務課では、農地台帳の確認をすることなく、現況で評価しているとのことです。
今回、本件土地を売買を原因とする所有権移転登記をする場合、農業委員会で農地の取り扱いとなっていないことから、農地法の許可を得ることなく、所有権移転登記できると考えますが、いかがでしょうか。

 

すると翌日、法務局の担当者から、

「ご意見のとおり」

との回答がありました。

理由は、上記の書籍の引用のとおり、「法務局には形式的に審査をすることができるに止まり、実質的な審査権限はないから」ということでした。

※管轄の法務局により、対応が異なるかもしれませんので、ご確認ください。

投稿者プロフィール

落石 憲是
落石 憲是司法書士
おちいし司法書士事務所の代表の落石憲是です。代表と言っても、司法書士ひとりの事務所です。ホームページはすべて私自身で書いています。

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