相続人の中に行方がわからない人がいたら?
相続手続きをするとき、亡くなった方(被相続人)が遺言を残されていなかったら、相続人全員で遺産分割協議をして、遺産を分けます。
その相続人の中に行方がわからない人がいたら、相続手続きはどのようにしたらいいでしょう?
このページには、以下のことを書いています
相続人の一部が参加していなかったら
遺産分割協議をするときは、必ず相続人全員でしなければなりません。
ひとりでも相続人が協議に参加していなかったら、その遺産分割協議は無効になります。
遺産分割協議が終わった後に、新たな相続人が判明するケースがあります。相続が開始してから認知された人がいる場合です。
認知された人がいることがわかった時点で遺産分割協議が成立していなければ、その認知された人を加えて協議しなければなりませんが、遺産わけの話し合いが終わったあとだったら、その遺産分割協議は無効とはなりません。
「相続開始後認知によって相続人となった者」(民法910条)にあたるので、価額の支払い請求しかできません。
不在者の財産管理人
相続人の中に行方不明の人がいたら、話し合いができないので、相続手続きをすることができないのかというと、そんなことはありません。
このようなときのために、「不在者財産管理人」という制度があります。
簡単にいえば、行方不明の人の代わりにその財産を管理する人を家庭裁判所で選任して、その管理人に手続きをしてもらう制度です。
▼不在者財産管理人選任(裁判所ホームページ)
不在者財産管理人が遺産分割協議をするときは、家庭裁判所に対して、財産管理人の権限外行為の許可申立ての手続きもしなければなりません。
遺産分割協議は、この許可がないと財産管理人にはできない行為だからです。
このように、相続人の中に行方がわからない方がいるときは、通常の遺産分割よりも時間がかかります。
音信不通の家族がいる場合にできる生前対策
もし、自分の相続人になるだろう人(自分の子どもなど)で、行方がわからなくなっている人がいるような場合。
何もしなければ、自分の家族が相続手続きで困ることは目に見えています。
ぜひ、遺言を書いておきましょう!
すべての財産について、遺言で誰に引き継いてもらいたいかなどを書いておけば、残された家族は、相続人全員で遺産分割協議をすることなく、その遺言で相続手続きを進めることができます。
遺言を作る際は、亡くなったあと家庭裁判所での検認の手続きがいらない公正証書遺言(や法務局で保管する自筆証書遺言)をオススメします。
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