休眠抵当権の抵当権者の相続人が判明したら?(共同申請による休眠抵当の抹消)

抵当権者が個人の場合、休眠抵当権を抹消するためには、まず、抵当権者の調査をします。
このページには、以下のことを書いています
戸籍の調査
抵当権者の調査とは、具体的には戸籍の調査です。登記簿上の住所・氏名で役場に戸籍を請求します。
保存期間経過のため廃棄されているため戸籍を取ることができず、供託をして抹消登記をすることが多いと思います。
しかし、まれに、戸籍が取れることもあります。
その場合は、供託によって簡易に抹消手続きを進めることはできず、抵当権者の相続人を調査することになります。
昔は、ご兄弟が多い家族もあったので、調査対象となる相続人の数が多くなることもあるでしょう。
抵当権者の相続人の所在を把握できたとしても、相続人の数が多い場合は、裁判手続きを利用した方がスムーズに手続きができることもあるでしょう。
当事務所で手続きをさせていただいたケースで、抵当権者の戸籍が取れたことがありました。
そのケースは、戦前の相続で、戸主が旧民法における「家督相続」をしていたので、相続人が少なくすみました。
抵当権者の相続人全員に連絡
原則どおりの共同申請で抹消登記をするには、抵当権者の相続人全員に手続きへの協力をお願いしなければなりません。
戸籍の調査の中で、戸籍の附票もあわせて取得することで、相続人の住所を把握することができますから、通常は、書面でのやり取りとなるでしょう。
登記申請
手続きに協力いただける場合は、通常の抵当権の抹消登記のように、
- 登記権利者=物件の所有者
- 登記義務者=抵当権の相続人全員
で共同申請により、休眠抵当権を抹消します。
その際、抹消する原因をどうするかを検討しなければなりません。
住宅ローンのように、いつ完済したかわからないので、「弁済」という原因では難しいでしょう。
「解除」を原因とすることは、一つの方法でしょう。この場合、解除の日付を現在にすると、抵当権の移転登記→抵当権の抹消登記と2件申請することになります。
ちなみに、当事務所では、「時効消滅」を原因として休眠抵当権を抹消することが多い(ほとんど?)です。
おすすめの書籍
「改訂 休眠担保権に関する登記手続と法律実務 ─ 不動産登記法70条の2解散法人特例,70条4項後段供託特例,69条の2買戻権抹消特約,新公示催告・除権決定,抵当権抹消訴訟,清算人選任」
令和7年11月に改訂本が出ましたので、直ぐに購入いたしました。定価が10,340円と初版よりも高くなってましたが、改正法も網羅されていますので、司法書士業務をするうえでは必須アイテム。
「Q&Aとケースでみる 休眠担保権等の抹消登記-担保権・用益権・買戻し特約・仮登記-」
上記の正影先生の改訂本がなかなか出ませんでしたので、令和6年2月に出版されたこちらの本を先に購入して実務に当たっていました。
これらの本は専門書ですので、一般の方が手に取られても、なかなか難しいだろうと思います。
休眠抵当権の抹消登記が残っている土地をお持ちの方は、ぜひ司法書士にご相談ください。
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