抵当権者の取扱店の登記
銀行から、不動産を担保にして、住宅ローンや事業資金を借りるとき、不動産に抵当権や根抵当権の登記をします。
このページには、以下のことを書いています
取扱店の登記が認められるようになった経緯
権利者となる会社を登記する場合は、
会社の本店所在地
会社の商号
が登記簿に載ります。
融資を行うのは法人が多く、ほとんどが金融機関。
抵当権で担保される債権をすべて本店で管理されているとは限りませんので、
昭和36年の民事局通達は、銀行の取扱支店の表示を加えることを妨げない
「不動産登記法(第2版)」p572
とされました。
昭和36年、株式会社三菱銀行審査第一部長が、
銀行における抵当権又は根抵当権の設定に関する登記申請は、本店を住所とし代表取締役名をもつてなし、支店は単にこの手続を取扱うだけでありますので、登記簿には取扱支店はなんら表示されておりません。このため該物件に関する差押、競売、その他一切の通知書はすべて本店に送達されて参ります。
ところで、本店としては、全国にわたる多数の支店によりなされた登記をすべて把握することは、上記のとおり登記申請手続を支店に任せている関係上極めて困難でありまして、本店に送達された書類を取扱支店に廻付するにあたつて、その支店を探知するのに多くの時間を費し、はては郵送等の遅延に際しては債権届出期日に間に合わない事態も生じ、不測の損害を被ることも懸念されます。
もつとも、この点については抵当権者を支店名にて登記することは妨げない とされておりますが(明治35年7月8日民刑第634号、昭和35年3月29日民事甲第747号による局長回答)、銀行業界の実情は支店長の更迭が頻繁のためか支配人登記をしておる例は極く稀れで、当行も支配人登記は行なっておりません。
ついては、当行としては左記のとおり本店の住所、商号、代表者名のつぎに 取扱支店の所在及び支店名を付記して登記申請をいたしたいと存じますが、かかる登記申請を行ないました場合、取扱支店名を本店名についで登記簿に記載して頂けるかどうかお伺いいたしたく、上記の点ご詮議のうえ何分のご回答賜りたくお願いいたします。
記
東京都千代田区丸の内丁目五番地
株式会社三菱銀行
代表取締役取扱支店の表示
市町丁目番地
支店「不動産登記重要先例集」p368-
と照会して、法務省が『貴見のとおり申請書および登記簿に支店を表示することができるものと考える』と回答されたそうです。
(昭和36年5月17日民事甲第1134号民事局長通達)
取扱店を表示できる例
- 銀行
⇒◯◯銀行(取扱店 ◯◯支店)
◯◯銀行(取扱店 ◯◯営業部)
※本店営業部は不可 - 銀行の融資専門の営業窓口
⇒◯◯銀行(取扱店 住宅ローンセンター) - 独立行政法人住宅金融支援機構
⇒抵当権者 独立行政法人住宅金融支援機構
(取扱店 株式会社◯◯銀行◯◯支店) - 労働金庫
- 株式会社日本政策金融公庫(取扱店 ◯◯支店)
- 信用金庫(登記研究866p249)
- 信用組合(登記研究866p249)
- 信用保証協会(登記研究866p249)
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