「墓地」の名義変更
相続による名義変更登記(相続登記)のご相談の際には、固定資産評価額がわかるもの(固定資産税の納税通知書や評価証明書)が手元にあれば、お持ちいただくようにお客さまにご案内しています。それは、名義変更する物件の登記情報を取る手がかりにするためであり、また、手続き費用の見積もりをご案内するためでもあります。
このページには、以下のことを書いています
登記地目が墓地
先日、お客さまにお持ちいただいた、固定資産税納税通知書で名義変更をする物件を確認していると、
地目:墓地 非課税物件
とありました。
宅地、田、畑、山林などの土地には、不動産1筆ごとに固定資産評価額がついています。
一方、土地の中でも固定資産評価額がついていないものもあります。たとえば、私道になっている土地(地目が公衆用道路)。
通常、名義変更の登記(所有権移転登記)を申請する際、固定資産評価額に税率をかけて登録免許税を納めます。
しかし、評価額がついていない公衆用道路については、登録免許税を納めなくてよいかというとそうではありません。
近隣の宅地の評価の30%とみなして、評価額を算出することになります。
では、非課税物件となっている「墓地」も同じように近隣の宅地の30%になるのでしょうか?
登録免許税法の第5条(非課税登記等)に、
次に掲げる登記等・・・・・については、登録免許税を課さない。
10号 墳墓地に関する登記
とあって、墓地に関する登記の登録免許税は『非課税』です。
登記を申請するときは、申請書に非課税となる根拠として、「登録免許税第5条第10号」と記載することになります。
ちなみに、登録免許税法には、墳墓地に関する所有権移転登記ではなく、墳墓地に関する登記とあるので、例えば、登記簿上の住所の変更登記(所有権登記名義人住所変更登記)などの登録免許税も非課税となります。
現況地目が墓地(登記地目は墓地でない)
固定資産評価証明書の備考欄に
地方税法第348条第2項第4号に規定する固定資産のため非課税
4 登録免許税法第5条第10号は「墳墓地に関する登記」 について非課税とするものであるところ、この規定が適用されるのは、登記記録の地目が墓地と記録されている土地に限られると考えられます。
…
したがって、現況の地目が墓地であっても、登記記録の地目が墓地でないときは、登録免許税法第5条第10号の適用はないといえます。
とあります。
登記簿上の地目が「墓地」でないと、非課税にならないということですね。
登記地目は墓地、現況地目は墓地でない
登記研究519号p189の「質疑応答」によると、
評価証明書の現況の地目が雑種地であっても、登記簿上の地目が墓地である場合は、登録免許税法5条10号の規定が適用される
ということです。
登記簿上の地目が墓地であれば、現況が墓地でなくても、登録免許税は非課税扱いになるということになります。
地方税法§348(抜粋)
(固定資産税の非課税の範囲)
第348条 市町村は、国並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合、財産区及び合併特例区に対しては、固定資産税を課することができない。
2 固定資産税は、次に掲げる固定資産に対しては課することができない。ただし、固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合には、当該固定資産の所有者に課することができる。
一 国並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合及び財産区が公用又は公共の用に供する固定資産
(省略)
四 墓地
五 公共の用に供する道路、運河用地及び水道用地
六 公共の用に供する用悪水路、ため池、堤とう及び井溝
(省略)
登録免許税法§5(抜粋)
(非課税登記等)
第5条 次に掲げる登記等(第四号又は第五号に掲げる登記又は登録にあつては、当該登記等がこれらの号に掲げる登記又は登録に該当するものであることを証する財務省令で定める書類を添付して受けるものに限る。)については、登録免許税を課さない。
一 国又は別表第二に掲げる者がこれらの者以外の者に代位してする登記又は登録
二 登記機関(登記官又は登記以外の登記等をする官庁若しくは団体の長をいう。以下同じ。)が職権に基づいてする登記又は登録で政令で定めるもの
(省略)
四 住居表示に関する法律(昭和三十七年法律第百十九号)第三条第一項及び第二項又は第四条(住居表示の実施手続等)の規定による住居表示の実施又は変更に伴う登記事項又は登録事項の変更の登記又は登録
五 行政区画、郡、区、市町村内の町若しくは字又はこれらの名称の変更(その変更に伴う地番の変更及び次号に規定する事業の施行に伴う地番の変更を含む。)に伴う登記事項又は登録事項の変更の登記又は登録
十 墳墓地に関する登記
(省略)
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