登記簿上の住所が異なる複数の物件の住所変更登記

氏名変更、住所変更の登記記録例

所有権登記名義人住所変更登記とは?

ある権利につき移転、設定または抹消(例えば、所有権移転、抵当権設定、これらの抹消)の登記を申請する場合において、登記簿に記載された登記名義人の住所(本店)または氏名(商号)に変更が生じているときは、原則として、登記名義人の表示変更登記を申請しなければなりません。

登記名義人の住所氏名変更・更正登記の手引

所有権登記名義人住所変更登記は、登記簿の甲区に登記された所有者の住所を変更する登記のことです。

この登記を入れずに、例えば、売買による名義変更登記を申請したら、法務局は登記を受け付けてくれませんので、取り下げなければなりません。

一見、簡単にも見える登記ですが、司法書士にとっては見逃したら恐ろしい登記の一つなのです。

 

甲土地の住所がA、乙土地の住所がBの場合、Cに住所移転したときの所有権登記名義人住所変更登記

登記簿が次のようになっているケースを考えます。

甲土地

順位番号 登記の目的 権利者その他の事項
所有権移転

原因 年月日売買

所有者 福岡市中央区天神一丁目8番1号  久留米太郎

 

乙土地

順位番号 登記の目的 権利者その他の事項
所有権移転

原因 年月日売買

所有者 福岡県久留米市城南町15番地3  久留米太郎

 

久留米太郎さんが

  1. 住所が福岡市中央区天神一丁目8番1号のときと
  2. 福岡県久留米市城南町15番地3のときに土地を購入して
  3. 現在、福岡県久留米市日吉町16番地1に引っ越していて、これらの不動産に抵当権を設定する場合、

その前提として、甲土地と乙土地の、久留米太郎さんの登記簿上の住所の変更登記が必要になります。

※業界用語で「名変(めいへん)」と呼んでいます。一般的に「名変」といったら「名義変更」のことかもしれませんが。

 

甲土地と乙土地の住所変更の登記を一括申請できるか?

甲土地の久留米太郎さんの住所変更の登記と乙土地の久留米太郎さんの住所変更の登記を、別々の申請書で申請することもできます。

それだと、何も悩むことはありません。

でも、司法書士としては、申請件数をできれば少なくしようと考えます。

なぜなら、通常、申請1件に対して、司法書士報酬をご請求していますので、できるだけお安くしようと考えるわけです。

(なんて良心的なのでしょう(笑))

 

久留米太郎さんが、

福岡市中央区天神一丁目8番1号 ⇒ 福岡県久留米市城南町15番地3 に
引っ越したのが、平成12年9月23日で、

福岡県久留米市城南町15番地3 ⇒ 福岡県久留米市日吉町16番地1 に
引っ越したのが、令和1年7月2日とします。

 

甲土地は、
福岡市中央区天神一丁目8番1号 ⇒ 福岡県久留米市城南町15番地3 ⇒ 福岡県久留米市日吉町16番地1
と住所移転の登記が必要で、

乙土地は、
福岡県久留米市城南町15番地3 ⇒ 福岡県久留米市日吉町16番地1
の住所移転の登記が必要になります。

 

物件ごとに登記簿上の住所が異なるので、1件の申請書での申請はできないかもしれないと思い、調べたところ、

各不動産ごとに登記記録上の住所が異なっていても、最終の登記原因およびその日付が同一であれば、1件の申請書で申請することができる(「登記実務の応用問題事例集」日本加除出版)。

登記名義人の住所氏名変更・更正登記の手引

とありました。

このケースは、最終の登記原因はいずれも「住所移転」で、その日付も「令和1年7月2日」と同じですので、1件でできるということになります。

ちなみに、この登記を申請する際には、福岡市中央区天神一丁目8番1号 ⇒ 福岡県久留米市城南町15番地3 ⇒ 福岡県久留米市日吉町16番地1の住所移転の経緯がわかる住民票や戸籍の附票が必要になります。

 

書籍の紹介

名変の本といえば、この本でしょう!

 

この他には、兵庫県青年司法書士会が作成した「たかが名変されど名変」。

これは一般には販売されていません。
私は、どのようなルートで購入したか覚えてはいませんが、研修会場か所属会経由であったのだろうと思います。

そのほか、登記の事例やQ&Aを調べるときには、次のような書籍にあたって調べています。

 

 

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投稿者プロフィール

落石 憲是司法書士
おちいし司法書士事務所の代表の落石憲是です。代表と言っても、司法書士ひとりの事務所です。ホームページはすべて私自身で書いています。

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